マーケティング・ブランディングを学び始めるために読んだ本5冊

ここ1,2年でマーケティングブランディング領域の仕事をすることが増えてきたものの、きちんと勉強したことはなく、勘でおこなうことが多かった。先日プロのマーケターの方におすすめ書籍をいくつか教えていただいたので、このタイミングでまとめて本を読み学習した。参考になった部分などを残しておく。

特に良かった3冊

USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門

窮地にあったユニバーサル・スタジオ・ジャパンをV字回復させた著者の森岡氏が「マーケターの仕事とはどのようなものか」を解説する。マーケティングのハウツーというよりかは、その裏側にある心構えのようなもの。

  • 前半は「マーケティングとは何か?」を解説する
    • マーケターにとって、価格は売上を左右するだけでなく、顧客からのブランドへの評価そのものになる。値下げして個数を伸ばすなら誰にでもできる。マーケターに要求される仕事は値上げしながらも個数を伸ばすこと。
    • マーケターは消費者理解の専門家。
    • 「ゲストが喜ぶもの」と「ゲストが喜ぶだろうと作る側が思っているもの」は必ずしも一致しない。
    • マーケティングの最大の仕事は、消費者の頭の中に「選ばれる」必然をつくること。そのための活動を「ブランディング」という。
  • 中盤〜後半はもう少し具体的な「戦略をたてること」について
    • チケットの高価格転売がなぜブランディング的に良くないのか。
    • リソースの配分はなぜ大切か。
    • 戦略と戦術とは何か。戦術が正しくとも戦略が間違っていると、間違った方向へ大きく進んでしまう。
    • どう戦うかの前に、どこで戦うかを正しく見極める。

感想

  • 「マーケターは消費者理解の専門家」というワードがとても腑に落ちた。
  • これまでマーケティングブランディングを別の領域のものと考えていたが、極めて密接に関わるものであることがよくわかった。
  • この本ではUSJでは具体的にどのようなことを行ったのか?みたいなのはそこまで書かれていないので、別の本も読んでみようと思った。
たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング

P&G出身で長らくマーケティングに携わってきた著者の西口氏が過去の案件(特にスマートニュース)の事例を元に「顧客起点マーケティング」を紹介する。

  • 前半は、たった一人の“N1”に絞って深いインタビューをしましょう、という趣旨。名前の見えない複数の誰かではなくて、実在する一人に空い、ブランドとの接点を丁寧にインタビューする。
  • 商品のブランド化として、独自性と便益の両方がある強い「アイデア」が大切。強いアイデアを導き出すために一人の「ロイヤル顧客」を深堀りする。
  • 後半は「顧客を9種類に分けてそれぞれに効果的な方法を考えましょう」というその手法がメイン。

感想

  • 前半は非常に参考になった。要するに「熱心なお客さんにインタビューしてみよう」という内容なので、今すぐにでも始められるのがありがたい。質問すべき内容も本にまとまっている。
  • さっそく運営している宿のリピーターさんなどにインタビューを始めると、想像もしていなかったような部分を気に入ってくださるのだな、という発見があった。
  • 一方で、後半は今扱ってる事業としてはここまで大掛かりなことはできないな…という印象。ある程度の規模の商品や事業には有効かもしれない。
商品はつくるな 市場をつくれ――キリン「伝説のヒットメーカー」商品づくり24の技法

キリンで「氷結」「キリンフリー」などのヒット商品を手掛けてきた著者の和田氏が、ブランディングマーケティング含めて「商品企画」についてまるっと紹介する。

  • 良い商品を作るなら、既存の商品と比べて考えてはいけない。その商品があるおかげでどんな未来が描けるか?を考える必要がある。良い商品は良い未来をつくる。
    • 例えばノンアルコール市場がない時代に「オールフリー」の開発ができたかというと、「交通事故で悲しむ人々をなくす」という未来を描いていたから。
  • 商品企画で重要なのは「Why」。
    • どんな人たちが、どんな気持ちで、どんな風になりたくて集まる市場なのか?を意識する。
  • 発想力を上げるには「インプットの総量」「構想・ビジョンへの情熱」「ひらめきを逃さない力」が重要。
    • 良い企画をするにはセレンディピティを自ら呼び込む。普段とは違う書籍をめくってみたり、行動範囲を広げる。
  • 商品開発は「言葉を開発すること」。

感想

  • 手法的なことというよりかは「なぜそれを作る必要があるのか?」を突き詰めて考えていくのが大切なんだな〜とおもしろく読んだ。
  • わたしは企画をすることが多いので、「この企画があることで、未来をどう変えられるか?」というふうに考えるようになった。
  • 「企画を仕事にする人の姿勢」をインプットからアウトプット、考え方まで余すことなく学べた気がする。
  • 余談だけど、「発想力を上げるには普段とは違う人と付き合ったほうがよい」と書いてあって、まさに今運営している宿「UNKNOWN KYOTO」はぴったりの場所だと思った。宿泊者だったりコワーキング会員だったり、普段会わない人とたくさん話す機会があり、もっと交流していこうと思った。

その他に読んだ本

非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術

  • 私自身が大学で学んでいたのが「デザイン思考」であるためか、わりと知っていることが多かったかも…。
  • 逆に、自分のバックグラウンドだったり得意なことが活かせそうな領域がこのあたりなんだな、というのがわかってよかった。
  • 「商品はつくるな 市場をつくれ」と同様に、良質なインプットのためには普段とは違うコミュニティに入っていくことも大切と書いてあって、あらためて運営している宿は
デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 「顧客体験」で差がつく時代の新しいルール(MarkeZine BOOKS)

  • ブランディングについての全貌をざっくりと紹介した本。
  • 学びが得られるというよりかは、「ブランディングとはこういうものなのだな」という輪郭を固められるような内容だった。ざっくりと読んで、あとから業務で気になった部分を読み返すのがいいかも。



ちなみにおすすめ本を教えてくださったのは、運営している宿「UNKNOWN KYOTO」にたまたま滞在してくださったお客さん。セレンディピティのある場所の大切さを身を以て体感した。
どの本も楽しくスラスラ読めたので、マーケティング領域が結構好きなのかもしれない。今度はより実践的な本を読みながら、実業務に活かせたらと思っている。
同じように学んでみたいけどどこから始めれば…とお思いの方に、少しでも参考になれば嬉しいです。