日プ女子に惹かれる理由と、番組構成について考えたことメモ

ここ数ヶ月ほどProduce 101 Japan Girls(日プ)を熱心に見ています。101人のアイドル候補生の中から、視聴者が投票してデビューメンバーを決めるというもの。アイドルのオーディション番組をリアルタイムで見るのは初めてなのだけれど、すっかりハマっている……。
ファイナル目前ということで、日プを見て得た発見などを、あんまり推敲はせずざっくりと残しておく。

ある集団を第三者の目線から観察する興味深さ

人間関係や困難への立ち向かい方って、子どもの頃から「こうするとうまくいくんだな」「こういうのは怒られるんだな」って感じで当事者としてトライアンドエラーで学んでいくと思うんだけど、それを第三者の目線で観察できる、という構図がまず面白い。このあたり、自分は自然にはできないタイプなのでコミュニケーションのショーケースとして見た。

  • いきなりメッチャ具体的な例だけど、グループバトル時の蘭ちゃんと美羽ちゃんのメンバーの選び方の違い。蘭ちゃんは自由に選択できる立場にいたのにA〜Fグループの子をまんべんなく選び、それでいて自分もきちんと目立てるような人選を、本当にナチュラルに行っていてびっくりした……。いっぽうで美羽ちゃんは「そのメンバー構成だったら当然うまいでしょう」というような人選だったり。
    • そして「この子ちょっと不器用なのかな…」と思わせるところが美羽ちゃんの良さであり、好きになるきっかけだったりするのも面白い。
  • 「誰かが落ち込んでいるときに、どのような表情・言葉・タイミングで声を掛けるのか」の様々なやり方。慕われているように見える子(実夢ちゃんとか)はこのあたりがめちゃくちゃうまい。リーダー像として勉強になる。
  • 最適解への辿り着き方。「失敗するかもしれない…」と悩むことはありがちだと思うけど、悩むことそれ自体に時間をかけるのはあまり意味がなくて、さっと切り替えて練習を重ねるしかないんだな、と。傍から見てると理解できるんだけど、自分のこととなるとやっぱりくよくよ悩んでしまうと思うのでむずかしい……。
  • MBTIという性格診断のようなものを取り上げていて、すごく簡単に言うと、「人と会うことでパワーを得られるか一人で過ごすほうがいいか」「感情が顔に出るか出ないか」みたいな4軸で性格を表すものだが、「顔には出ないけど感情は動いているんだよ」というのが説明されてて良かった。というか表情に出にくいタイプはこんなに空気のような感じなんだ…気をつけよ……みたいなのを客観的に見れたのがよかった。
    • いっぽうで「このタイプは優しい性格!」というようなステレオタイプが生まれる危うさも感じる
  • そしてトレーナー陣のアドバイスがめっちゃ良い……。ダンス担当の仲宗根梨乃先生がもはやメンタルコーチのような感じで「まわりにもっとオープンになれ!」などと熱く練習生に声を掛けるのだが、それが自分の人生にも当てはまったりして胸を打たれる……。

K-POPや番組の構成について

番組の進行とともに人数が減っていき、練習生のそれぞれに愛着を感じ始めたところでだんだんつらくなり(笑)、人間関係のあれこれを楽しむというよりかは番組の作り方やK-POP市場のマーケティング手法についても考えるようになった。

とくに後半になると運営側の編集意図のようなものが濃く入ってくるようになる。当たり前ではあるが営利企業が収益のためにやっていることなので、結成後の売上が最大になるようにメンバーを選出するはずではないか……ということで編集意図は何か?を自分なりに考えてみた。

  • 分量(番組に映る時間)の偏り。前半はもはや人数が多すぎて全員にフィーチャーするのは不可能という感じだったが、後半は意図的に映されてないのでは?と感じる子がちらほら。
    • すでに魅力が伝わってそう(ファンが付いてそう)な子のほうが分量が少なめ。すでに人気な子の分量をさらに増やすとチーム内の人気格差が激しくなりすぎる?
    • 11人中1人だけ好きな子がいるグループか、11人全員そこそこ好きなグループか、どちらのライブに行きたいか?を考えると後者なので、デビューする可能性がある程度高いが魅力があまり伝わっていない子をたくさん写している…?(実際、わたし自身はまんべんなく全員好きになってる。)
  • そもそもだけど、アイドルのつくり方として、先にコンセプトを考えてそのコンセプトに合うメンバーを選ぶのが正攻法のような気がしてしまうが、日プでは先にメンバーを選ぶのはなぜなのか。
    • グッズの売上を考えると、絶対にグッズを買いたい!と思える子がいるかいないかは大きい気がする。この番組が最終1pickなのは、デビュー時点でのグッズ売上を見込んでなのかな。
    • すでに世の中にものすごい数のアイドルがいて、コンセプトが飽和しているからこそ、メンバーを先に決めてコンセプト考えたり…とかもあるかな?
  • 投票という主体的な行為をさせることで「好き」という気持ちの棚卸しを意図的にさせている気がする。
    • ぼんやりと番組を見て「この子いいな〜」で終わるのではなく、毎回投票のたびに「私はこの子が推し!」と意識させることでより夢中になってしまうのではないか。
  • Twitterを見ている限りだけど、ファンの熱量の高さに驚いてしまう。投票呼びかけしたり、布教用の画像や動画を作ったり、知人に頼んで投票してもらってたりする。なぜここまでしてしまうのか?
    • サンクコスト効果とか、「自分の票が意味があるものであってほしい」「正解に投票したい」みたいな気持ちもありそう。

いかに驚きを与え続けられるのか

ものすごく素朴な感想になるが、オーディション番組で勝ち進むのは「どれだけ視聴者を驚かせ続けられるか」なのかな、と思った。
番組序盤で魅力の全てを出してしまうと中盤以降で新しい驚きを提供できなくなるし、とはいっても序盤で見つけてもらえなければ脱落してしまう。いかに魅力を小出しにできるか?と考えるとなかなか難しい。
突き詰めて考えるとどんな順番でどんな曲が来てどんなパートになるかにかなり左右されるので、運の要素もかなり強いんだなと思う。そして運の要素があるから面白いんだろうなと思う。
持っている実力 ✕ 運という感じがなんとも人生っぽいし、このあたりにも箱庭っぽさを感じてしまう。



いよいよ明日がファイナルということで、デビューメンバーが決まったあとに感想が全然違うものになってるかもしれないのも怖いところ……。笑
35人に絞られたあたりから皆んなそれぞれ良い!みたいな感じなので誰が落ちてもロスを感じる気がします。とは言いつつデビュー後に垢抜けていくのも楽しみだな。ひとまずこの数ヶ月そわそわしっぱなしだったのでやっとほっとできる…みたいな安堵感もあります。

↑K-POP業界を深く知りたくて読んだ。とにかくPDCAをすばやく回す韓国のエンタメ業界はすごいし、人口が少なくて海外需要も狙わないといけないことが、産業のあり方まで変えるんだなというのも興味深かった。