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ジョゼと虎と魚たち

感想文

好きな映画がある。「ジョゼと虎と魚たち」である。初めて見たのは2回生くらいだったと思う。映画はそんなに見ないのだけれど、くるりが音楽担当しているなら、とかそのくらいだった。

この映画はいわゆるハッピーエンドではない。そこがよい。きれいごとじゃないところがいい。リアルな、生々しい感情が描かれている。最初に見た20歳の頃は、あまりのリアル感に打ちひしがれていた。すべてがすべてうまくはいかないよね、とかそんな感想だった。あんなに胸が痛くなったのは初めてだったかもしれない。このときはレンタルだったんだけど、最近になってまた見たいと思った。せっかく「一番好き」なものが見つかったんだから、ディスクで持っていてもいいんじゃないかって思って、買った。

4年ぶりに見るその風景は、同じようで全然違った。”ジョゼ”が乗る乳母車を、”恒夫”が押しながら街を走り回っていたとき、きっとこう感じてたんだろうな、とか。ジョゼのさりげない仕草を見て、きっとわたしもああしただろうな、とか。20歳のころは、淡々と話が進んでいったのに対して、登場人物の心情に入り込むすきまがあった。あらすじを知っていたから、気持ちまで味わえたのか。はたまた、登場人物の年齢である23歳くらいを追い越したからか。それとも、年を取って幾分か感受性が豊かになったからだろうか。わからないけど、なんだか嬉しかった。誰かの気持ちを読み取るの、苦手だったから。