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雨とドビュッシー

夏の朝はどうしても早くに目覚めてしまう。大音量で蝉が鳴いていたりして威力全開だ。汗びっしょりで、自分が持っているエネルギーを感じる。なんだかさっぱりとしている。何もしていないのに、ジョギングのあとみたいだ。生きている、さあ今日も一日が始まる! って感じ。今の家に住んで最初の夏が来て初めて気がついたけれど、わたしはこの瞬間が好きなようだ。

今朝も違わずそうだった。雨の音に、神経がカッとなって、さぁ朝だと思った。
前に住んでいた家は、車の走る音や救急車両のサイレンばかり聞こえた。わたしはそのことがとにかくストレスでストレスで仕方なかったんだけど、今の家はそんなことはない。今日なんかは、雨の音と、葉が揺れる音と、鳥の鳴く音の三つだけ。ザアザアと降っていて、無性にクラシックが聴きたくなってショパンを流してみた。ちょっと違うと思ってドビュッシーに変えて、ああこれだと思った。雨の音と相まってすごくうっとりとする。恍惚とした気持ち。

それから、花器の水を替えて水周りの掃除をしてみたけど、なんだかだるい。ゴミくらいまとめようと思ったのだけれど。体温計を咥えてみると、37.02度で、ちょっとだけ体温が高いようだった。さっとあきらめて、ソファにごろんとなりながら本を読む。リルケの「若き詩人への手紙・若き女性への手紙」という本だ。女性の運命とは何か、という章が面白かった。短い本なのに難しくて、読むのに何日もかけていたけど、家を出るちょうどその時間に読み終わった。

雨のドビュッシーと、けだるい体と、本を読み終わることが重なって、今日はなんだかすごい日だ…!と、ちょっと興奮しながら家を出た。