水無月

あたらしいアクセサリーを初めてつけて行く日は、いつだって特別で、なんだかうきうきとしてしまう。ちょっとだけ早起きをして、ちゃんとお化粧をして、髪を巻いて、コンタクトをつける。どこにも行く予定なんてないんだけどね。ショーウィンドウのガラスにうつる自分もなんだか元気そうである。

会社で、水無月という和菓子が振る舞われた。最近まで知らなかったのだけれど、京都では6月30日に水無月を食べる習慣があるみたい。夏越祓(なごしのはらえ)という、半年間の汚れを祓い清めて無病息災を祈願する行事だそうだ。総務の方の粋なはからいで、食後にひとついただいた。仙太郎の抹茶味、おいしかった。ほんとうは白いものを食べるそうなんだけど。

京都生まれの同僚が言う「水無月を見ると、もう今年も半分終わりなんだなあって思う」というひとことがなんだかおかしかった。京都は季節にあふれているなあとしみじみ思うけど、モノにまで季節が結びついてるのね。和菓子を見て、明日から祭だ!なんて思ったこと、一度でもあっただろうか。

夏越祓が気になって、帰りに茅の輪(ちのわ)くぐりをしに近くの神社に寄った。きちんとした方法で、うまくくぐれるかしら?と心配しながらも、楽しみに向かうと神社は閉まっていた。会社出るのが遅くて、20時をすぎてしまったから仕方ないね。来年こそは、くぐってみたい。