なぜマニュアルやドキュメントが必要か

無印良品は、仕組みが9割」を読んだ。無印良品には「MUJIGRAM」と呼ばれる膨大な業務マニュアルがあって、それに沿って仕事をしているという話。わたしは、マニュアルと聞くと堅苦しくって融通のきかないものだと思っていた。しかしマニュアルがあるからこそ、臨機応変に働けるのだという。

無印良品のマニュアルには、例えば「店舗での品物の陳列の仕方」について書かれている。そこにはただ「整理整頓してきれいに陳列しましょう」とは書かれていない。商品についてるラベルの向きや位置、それから列にいくつ置くかまで、誰が読んでも同じ状態になるよう事細かく書かれている。なぜなら人によって「整理整頓されている」という言葉が表すものが違うからだ。マニュアルに、具体的に「整理整頓されているとは何か」が書かれていることで、全員の共通の意識として持つことができる。そのおかげでちょっとした意思疎通も、スムーズにゆく。一般的な例として、「何かやっておいて」と言われたとよう。なにをもって「完了」かの定義が人によって違うと、なんども確認したり、場合によってはやり直しする必要があるかもしれない。

さらにマニュアルのよいところとして、作成の過程そのものが挙げられていた。無印良品のマニュアルのフォーマットでは、ある事象について記載するとき「どのようにやるか」だけではなくて「なんのためにやっているか」「なぜそうする必要があるか」まで記載する。この「なぜやるか」を考える過程が、仕事を見つめ直すきっかけになるという。何気なくやっていてなんとなく形骸化していることについて「なぜやるか」を突き詰めていくと、実際には必要がなかったり、もっとよい方法が見つかる。また、マニュアルは作りっぱなしではだめで、状況が変わるにつれて、見直す必要がある。ついつい作りっぱなしになるが、無印では意図的に毎年作り直す期間を設けているそうだ。


いままで仕事に対して「なぜやるか」わかっていなかったり、「なんとなく」で進めていたことがあった。最近はできるだけ「なぜそのようなデザインにしたか」を書き残すようにしている。書くことで、頭の整理ができたり、フィードバックが得られやすくなった。本の趣旨とはすこし違うが、考えたり実際行ったことを言語化するというのは、「マニュアルを作ること」に近いものがあるんじゃないかと考えている。考えを社内やチーム内で共通化したり、なぜそれをするかの理由を考えるキッカケ作りとしては、文章化されたものがあると、あとで振り返りができ、改善もしやすいのかもしれない。


【余談】
冒頭に「読んだ」と書いたが、オーディオブックだったので、正確には「読んで」はいません。朝走っているとどうしても同じコースばかりで退屈に感じるので、オーディオブックはとても重宝しています。